魔法の絨毯No.1

(2020.6.27)

僕は魔法の絨毯をいくつか持っています。今回は、一番目の絨毯を紹介します。

 

僕がはじめて絨毯に興味を持ったのは、2012年。遊牧民の仕事でインドに行ったのがきっかけです。先日紹介した魔法のランプの少し前です。今回の場所は、インドの北西部、ジャンムーカシミール州。パキスタンと近く、宗教的にもイスラム教圏です。カシミヤのセーター、などで有名な、カシミヤですね。カシミヤヤギがたくさんいます。



遊牧民は、文化や生活様式が普段の自分の生活と違い過ぎて、僕にとっては興味津々。とっても魅力的です。その中で常に出会うのが絨毯。


 


絨毯を縫って、使って、修繕して。彼らにとって絨毯は、もちろん日用品なんだけど、機能性だけを求めるものではなさそうです。いろんな色の糸を使って、手間をかけて、オシャレでカラフルに仕上げます。糸から絨毯まで、さらに言うと糸の材料の元になる羊から、自分たちで作っている、というのがすごいです。絨毯だけじゃなくて、女性の衣服もすごくオシャレ。男性の衣服はシンプルです。



 

本当は、彼らの絨毯こそが魔法の絨毯じゃないかと思います。


ですが、それは彼らの生活の一部。絨毯が欲しければ、ちゃんと売り物を買いましょう。ということで、インドの山奥のイスラム商人から、魔法の絨毯をゲットです。

いろんな絨毯がありますが、サイズが大きければ大きいほどすっごく高くなるし、同じサイズでもノットと呼ばれる織密度によって全然値段が違います。素材としてはシルクとウールがあります。僕はこの時まで絨毯については全く知らなかったので、絨毯のお話、すごく面白かったです。

 

イスラム商人の別荘兼倉庫のような場所。絨毯はどれも素敵ですが、残念ながら高価なのです。大きくて素晴らしい絨毯は、もう、魔法の雰囲気がみなぎっています。魔力100%です。こういうのを買えば、きっと日本まで絨毯で飛んで帰れます。

 

 

でも、僕のような庶民は、買えるものを自由に買えない。そういう縛りがあることで、人生がいっそう楽しくなる。好きなものを自由に買って、すごい魔法グッズがどんどん手に入れば、今頃魔法使いになってるでしょうが、それはそれで飽きるかもしれません。目の前に純度100%の魔法の絨毯がある。でもそれを手に入れることはできない。このちょっとした苦悩って、心地よいですね。で、妥協して、小さなシルクの魔法の絨毯を買いました。




小さいから魔力が弱い。弱いけど、「魔力があるかないか?」の2択なら、「ある」だし。そして、きれいでかわいいし、手作りだし、インドの山奥だし、イスラム商人だし。というわけで、初めて魔法の絨毯を入手して、大満足です。

 

これで魔法の絨毯No.1のお話は終わりですが、以下は、補足情報でインドの山間部的な生活と自然について。

 

高地で、夏は涼しいけど冬は寒くて雪だらけで、けっこう厳しめの自然な気がします。僕がこういう生活をすると想像したら、体力が必要そうで厳しそう。でも、何でも手作りだし、いろんなワクワク感もあって、楽しそう。僕の「気になる職業」No.1は、羊飼いです。なってみたい。



食器なんかもとっても素敵。



彼らの水タバコセットも魔法感満載です。



遊牧民のルートを、ウマでキャラバンを組んでたどる機会がありました。これはすごく楽しかったですね。すごい水蒸気。雨で川が増水して途中で足止めを食らったりもして、雨に濡れて寒い夜の、たき火の温かいこと。彼らは小雨程度ならたき火を問題無く維持できるみたい。そしてそのたき火で沸かしたヤギのお乳で作った1杯の紅茶の美味しいこと。プライスレスな体験でした。


雨で思うようなスケジュールで調査が進まないので、「生贄が必要」だそうで、子羊を遊牧民から買って、それが2時間ほどでラムカレーになりました。いろいろ考える材料をいっぱい貰いました。













 

2020年06月27日