つぼさん

僕は夜、子どもにお話をするのが大好きです。いや、大好きでした。

これまでに、長いのも短いのみ含めて、500回以上はお話をしているでしょうね。1000回はしていない気がします。

 

しかし、時は無常です。いつまでも子どもはお話を聞いてはくれないのです。一昨年まではそれなりに、調子よくお話をしていました。ところが去年はお話をしたのが数えるほど。今年は今の時点でお話回数がゼロ回です。こういうのを、「卒業」と呼ぶのでしょうか。ということで、今日のお話は、過去のノスタルジーに浸りながらの、お話のお話です。

 

500回とか1000回とかお話をしていれば、中にはチラホラ、大ヒット作が生まれます。我ながら傑作。子どもも大満足。続きをしてほしい、もう一度してほしい、とせがまれるような、そんなお話。今までに2つありました。「つぼさん」と「ハムスターおじさん」です。

 

夜寝る時のお話には、もともとは名前がついていません。そもそも、話はじめの段階では、僕自身、このお話がどんなお話になるのか、知らないのです。お話のタイトルは、特に優れたごく一部のお話にのみ、子ども達によって付けられます。「昨日のハムスターおじさんのお話の続き、して!」というふうに。お話が名前を授かる瞬間。素晴らしいですよ。神々しいというか。

 

さて、お話の中に出てくる人やものが、現実世界に飛び出してきたら、それはステキだと思いませんか?そんなこと、起こりうるでしょうか?

 

 

つぼさんは、出てきました。


 

つぼさん、2011年の夏に上の子どもにしてあげたお話に出てきた魔法のツボです。でもある時ふと、お話から外に出てきたみたい。これまでに、上の子どもに1度か2度、下の子どもにも1度か2度、手紙をくれたり、お守りをくれたり、お金をせがんでいたこともありました。子ども達もお返事を書いたり、お金をあげたりしていましたね。つぼさん、どうやってお話から出てこれたのか、とっても不思議です。この世界はどんなシステムになってるんでしょうか。



最後に子どもが手紙を受け取ったのがちょうど2年前の2018年の夏。その時は、海外を放浪中だったようです。僕のお話から出てきて、なんだか楽しそうに活動しだしたつぼさん。そして2年前は海外放浪中だったつぼさん。今はどこで何をしているんでしょう?もしかしたら僕のお話の中(ということは、頭の中?)に戻ってきていたりして!?仕組みがよくわかりませんが。

 

つぼさんだけじゃなく、もしこれまでにした500個だか1000個だかのお話の中の登場人物が、僕の知らないうちに、僕から出たり、また戻ったり、日常的にしていたら、とってもあわただしいですね。

 

 

2020年07月11日